外遊帳 2006 夏

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9月17日(日) アディダスのストラップと海アメ釣り

一昨日妻が札幌出張に行った折、私に土産を買ってきてくれた。
仕事で札幌に行った妻が夫に土産を買って来るんだよ。どうだい、すごいだろう。
まあきち家がいかにラブラブ(←この言葉は今でも使っていいのか?)かわかるだろう?
いいから、いらん心配をするのはいいかげんにやめてくれ。
うちは安泰なのだよ。
という不自然な強調は置いておいて、買ってきてくれたのはコレだ。


「なんだこんなものか」と思った輩は地獄に落ちる。

私はここ数年、ちぎれて紐だけになった携帯ストラップを使っており(私は、なかなか個性的だと気に入っていたのだが)、それが見るにたえず、妻は私にコレを買ってきてくれたのだろう。私は嬉しくて、即座にお気に入りの紐ストラップ(←この言葉もヘンか?)をはずし、これに取り替えたのだ。

さて、釣りの話だ。
「前日は魚が沸いていた」という情報をもとに、太平洋側の港に繰り出した。シロさん、まつさんとの釣行だ。
なんでも、ほんの数時間でアキアジ10本ほどを何人かで釣ったとか、海アメなら何ぼでもいるという垂涎の情報だ。まあ、そういう情報で当たった時はないので、大して期待はしていない。場数を踏むとそういう情報で一喜一憂しなくなってくる。昨日よくて今日はダメというのが魚釣りの常識だ。

現場につくと、kameさんやら、Ryuさん(車しか見なかった。寝ていたらしく会えなかった)やらがいた。
釣りをはじめるが、時折アメマスがライズをするが、あまり釣れない。
ぶっこみ釣りの人が、アキアジを2本掛けたのを見ただけで、アキアジ釣りの人もさえない様子であった。
私は、41cmのアメマスと、35cmぐらいのアメマス2本だけだった。バラシも数回あったが、サイズも大きくないようだったので悔しくはない。途中ブラーを垂らしたりしながらのテキトーフィッシングだ。
ああ、テキトーと言えば、防波堤に仰向けにねっころがってリールを巻いたらアタリがあった。あげるとウグイのスレがかりだった。そんな釣行だった。今日は。

35cmほどだが、いい魚体をしていた。

昼頃虹鱒のいる小河川でしばらくあそんだ。
ここでは6匹か7匹か釣ったが、どれも小さい魚だった。
それでも澄んだ水で、魚がルアーを追うのが見えたのでなかなかに楽しかった。小さくとも跳ねて飛ぶ元気のよい虹鱒だったしね。

シロさんが30cmオーバーのニジを優しくリリースしていた。

遅い昼食はシロさんの実家で豚丼をご馳走になり、お土産まで頂いてしまった。この日はkameさんにもビールを頂いており、釣果とは別の満足感があった。
帰りの車では、次はアブラコとか釣りたいねなどと話していた。
最近磯ロックだとかいう言葉が流行っているようだ。ソイだとかアブラコだとかをロックフィッシュと呼ぶらしい。それを磯で狙うのが磯ロックだ。
しかし磯ロックだとか、ロックフィッシュとか言うのはちょっと恥ずかしくてゴメンだ。大体、ロックフィッシュを漢字で書けば「岩魚」だぞ。君たち、いいのか、それで。
今度の釣りは、夜から行って、投げ竿の魚魚ライトを見ながら日の出を待って、明るくなったら、ワームで釣ろう。などとまつさんと計画を立てた。
別れ際に、「じゃあ、今度は岩ロックで」とまつさんが間違えた。
シロさんが「海ロックで」と続いた。
彼らが本気で間違えたのか、冗談なのか私にはさっぱりわからないが、
磯ロックという言葉を恥ずかしげもなく使う人より、彼らのほうが私は数倍好きだ。

ところで、妻がくれたストラップのパッケージはこんな感じだ。どうだ、素敵だろう。


9月9日(土) 娘、釣りデビュー

色々と偉そうなことを書いたりするが、私は私で家族のことも調整せねばならず、そんなわけで今日は午後を娘のために費やした。妻は喜んで髪を切りにいった。バランス感覚が重要なのだ。
公園の遊具で遊び、サイクリングをし、散歩中の犬をさわり、釣り(ウグイの浮き釣りだ)をし、網かご(網製のびんどうですね)で魚をとるという豪華5時間コースであった。

この網カゴ、釣具屋で400円ぐらいで買えるのだが、ここに餌を入れて沈めておくと、魚がごっそりと入る。そのへんの子どもに教えると、「信じられない。おじさんすげえ」と尊敬される。この日はコンビニで買った魚肉ソーセージを餌に使ったが、これだと子どものおやつと兼用なのでありがたい。娘に半分やると、もっと欲しがり、カゴに入れる分が極端に少なくなったが、それもまた良しだ。
私は東京育ちの都会っ子であったが、それでも子どもの頃はこのビンドウや四つ手網を近所の池のある公園に持ち込み、よく魚やエビを獲った。獲ってきたものを次々と学校の教室の水槽に持ち込み飼っていた。
最近は小ざかしく小学生までもがルアーやフライなどをやっているが、そういうのは決まってまわりの大人も小ざかしいのだ。子どもはえさ釣りで十分だ。さらに言えば、手づかみやタモ網やヤスで魚を追いかける方が何倍も喜ぶ。カゴを沈め引き上げる方が何倍もわくわくする。そういう経験が今の子どもには決定的に欠けているのだ。


お魚さんも鳴くんだね。と言っていた。

娘は喜んで釣り針に掛かった魚を取り込んだり、引き上げた網から魚を出したりしていた。
ウグイをむんずとつかみ、嬉しそうにバケツに入れていた。
釣具箱からハサミを取り出し、
「お魚さん切ってもいい?」
などと物騒なことも言っていた。
さばいてみたいという意味なのか、たんなる残虐心なのかはわからないが、どちらでもいい。私好みだ。
いつもながら、なかなか見どころのある娘であると思うのであった。

8月31日(木) 恒例の知床瀬渡し

例年の通り、同僚にも友だちにも内緒で知床に行ってきた。
例年通り、「深刻な問題だから質問をしないでくれ」という表情で、「私事」と書いた年休届けを提出する。

今年は夏に家族を放っておいて、自分だけカナダなんぞに行っていたものだから話す人話す人に、
「奥さん、怒らないんですか?」
と言ったような質問を受け、閉口している。
大きなお世話だ。お前の3倍、普段家事をやっているよ、俺は。と言いたくなるががまんして、
「いやあ。ほんとーですよねー。妻には感謝していますぅ」
などと愛想笑いをしつつ相手をしている。
妻の評価は各方面でウナギのぼりだが、私の評価はミミズさがりである。

今回一緒に行った、Y氏とN氏は、いつもカラフトマスに行く二人だ。
くだらないことは言わず、
「楽しかったべ?」
とまともなことを聞くので、気分がよろしい。

釣り自体は、聞いていた通り魚が薄かった。
瀬渡しをして4本は寂しい。
けれど、それは私の方に多分に問題があり、隣のフライの方は、ひっきりなしにロッドを曲げていた。
そのフライマン、後からHigeさんだということが判明した。以前からメールでのやり取りなどはしている方で、私の超大好きなHPを運営している方なのだが、Higeさんだからこそ、あそこまで爆釣だったのだろう。一緒にいったNさんは、普段フライをする方なので、話をして、とても勉強になったと言っていた。HPの雰囲気どおり、素敵な印象の方であった。

私の釣りは、朝一の魚がバンバン口を使う時間帯に、何度もばらしてしまい、最悪な出だしであった。
底をすらずにゆっくりとひけるのはタスマニアンデビルだけであったのだが、それを最初の一尾でダメにしてしまった。古くなったスプリットリングが壊れてしまったのだ。その後も、なんとか数匹掛けたが、すべてこちらのタックルの不備でバラシたものだから、気分が悪い。言い訳をすれば、フックを巻いたり、タックルを調節する時間がなかったというのが敗因なのだが、無理すれば時間も取れたんだよなあ。やっぱり、自分のせいだよなあ。

ゴールデンタイムも終わりかけの頃、普段やったことのない、浮きルアー(浅くゆっくりひけるルアーが手持ちでなくなっちゃったんだよ)を投げてみると、一投目でヒット、「狙い通りだぜ!」と思ったけれど、その時はそこにいる4人が全てヒットしたので、食い気のある群れが来ただけのようであった。

10時ごろまでで、私は1尾しか釣れず、さらにその頃には定期的にまわってくる鱒たちも口を使わなくなっていたので、状況は危機的だった。
だから、一人で少し歩いた岩場に移動した。
ここには、食い気のある鱒がたまることがあることを、私は知っている。
行ってみると、いたんだなあ、これが。

高い岩の上に座り、魚を観察する。鱒は時折移動しながらも、気に入ったところがあると長い間留まっているようだ。刺激しないように、魚の向こうにルアーを投げ、ゆっくり海草の間を巻いてくる。足場が高いので、重いスプーンでも表層を巻ける。このスプーンは私の最も得意としているスプーンで、フックも新品を巻いてある。そして、それまでの苦労が疑問になるほど簡単にヒット。慎重に寄せ、無事取り込むことに成功した。
同じやり方でもう一尾追加したところで、Yさん、Nさんが「また、一人でやってるべ!きたねえなあ」と現れた。2年前、私が一人でポイントを移動して、一人だけいい思いをしたことを言っているのだ。
しかし、彼らが来て鱒を驚かせたためか(真偽のほどは定かではないが:笑)、鱒はいなくなってしまった。

その後、流れ込みの前で、銀ピカハグレ鱒を一尾釣ったところで迎えが来た。この鱒は、強く速いカラフトマスらしい引きをしてくれた。諦めかけた最後の方に、連続で魚が掛かったので、まあ良しとしよう。


この魚だけだったなあ。本来の引きをしたのは。

瀬渡しも最近は人気があり、釣り場を独占するなどと言うのは程遠く、高い金を払って、なんでこんなヒトゴミでやらねばならないんだということばかりであったが、今日は4人しかいないと言う、群れの多さや魚の悪さを別とすれば、すばらしい状況であった。2本釣った磯では、一人カラフトという贅沢も味わったしね。
「今年も、ここで釣りができたなあ」
と、満足しながら釣行を終えた。
タックルをちゃんとしていれば、あと2本3本は確実であったことが悔やまれるが、それも含めて私の実力なのでしかたがない。
しかし、これまで鱒のお土産があったのに、今年はなかったのは納得がいかない。ウチの冷凍庫には例年ストックされるべき鱒の切り身もルイベもマスコの醤油漬けもないのだぞ。ウチには腹をすかした魚大好き娘がいるのだぞ。

帰りは、恒例となっている、中標津の回転寿司屋に寄った。
「さんま6皿」というYさんの決まり文句が飛び出した。

7月31日〜8月13日 カナダ ユーコンの旅

「やりたい」と思ったら、次の瞬間行動している。私はそういう性分らしい。

カナダのユーコンに行ってきた。10年以上前からいつか行きたいなあと思っていた地である。
海外の一人旅は、大学の時以来だ。勤め始めてからは、妻と安楽な土地にばかり行ってきた。
例えば、モルディブ。
完璧に美しい海と空の下、すべての食事も身の危険も持ち物の管理も心配することなく、海に入りたければ海に入り、酒を呑みたければ酒を呑み、本を読みたければ本を読み、何もしたくなければただぼーっと海を眺めながら過ごすことができる。
そこは100パーセントの快楽の地だ。
100パーセントの美しい環境の中、旅行者は、100パーセントの快楽を得ることができる。

ただ、たまには、そうではないところに身をおきたくなる。
ユーコンがそうだ。
100の美しい風景とともに、100のマイナスな要素。マイナスな要素とは、不意の天候の悪化や焚き火で煮炊きすることの不便さ、熊の恐怖、蚊の猛襲などである。
100の快楽とともに100のマイナス要因。経験値200のそんな旅を、私は久しぶりにしてみたいなあと思ったのだ。

たくさんの出来事については、徐々に別のコーナーを設けて、書いていこう。
今日は、ダイジェスト版で勘弁を。

7月31日(月)
成田発19:00でカナダへ飛ぶ。ユーコン準州ホワイトホースに着いたのが同じ31日19:00。時差の関係なのだが、理解に苦しむ。得したような。現地ガイドと簡単に打ち合わせをしてアルコール類を買出しに行く。1ドル90円と聞いていたのが、実際には1ドル110円となっており、所持金に若干不安がある。だから、町での飯は殆どハンバーガーとポテトで済ますことにする。

8月1日
午前中いっぱい買出しに費やす。9日間分の食料など買ったことがないので見当がつかない。フィッシングライセンスやガスカートリッジ、トイレスコップ、パイク用のワイヤーリーダーなど、買うものが多く時間を食う。14時過ぎにホワイトホースを出発し、17時にいよいよ船出だ。こちらは23時ごろまで明るい。カヤックの上からだが、早速熊に会う。

小熊の向こうから親が現れ向かってきた。

2日
朝方狼の遠吠えを聞く。ここはユーコンなのだと改めて思う。大きなライズがあり、ルアーを投げるが反応無し。後からそれがビーバーだったことがわかる。この日、グレイリングとパイク、それから何か鱒の稚魚を釣った。

3日
夜中にフクロウが鳴いた。朝方、今日も狼の遠吠えが聞こえる。やっと快晴。グレイリングを山ほど釣った。白頭鷲に釣ったグレイリングを横取りされた。オーストラリア人と現地ガイドの4人組とキャンプ地を共にした。ワインやウイスキーをもらい、随分酔っ払った。

白頭鷲が、俺の捌いたグレイリングを盗んでいった。

4日
二日酔いと疲れで体調が悪い。日本でもユーコンでも呑みすぎるとはダメな俺。体調が悪いと旅も楽しくない。その日のキャンプ地に着き、腹が減ってしょうがないので調理もせず缶詰を二つ平らげると雨が降ってきた。目の前は絶好の釣りポイントなのだが、雨なので7時前には寝てしまった。

5日
13時間ほども寝てしまい、その後もぐだぐだテントの中でしていた。外が雨だからだ。しかし、前日までの4日間で95kmしか進んでいない。あと280kmもあるのだ。仕方がないので雨の中がんばって65km漕いだ。が、体調がいいので気分はいい。ウイスキーを呑みつつ、下った。夜テントのすぐ横を大型動物が通り過ぎる気配がした。
ビールやウイスキーを呑みながら下る。のんびりとしたものである。

6日
昼前に出発。暑いので上半身裸でビールを呑みつつ下る。2頭の若いムースを近くで見る。1頭は川を渡っていった。今日、ユーコン川に合流した。

ムースには何度か会った。足跡はそこいら中にある。

7日
殆ど漕がずに流されながら進む。ユーコン川は時速10kmという速い流れなので漕がなくても結構距離が稼げる。今日は55kmほど下った。85cmのパイクに竿をへし折られた。

こいつが愛用のスミスのロッドをへし折った85cmのパイクだ。

8日
朝、キャンプ地のリスや地リスの写真を撮る。崖から眼下の川を見下ろすように地リスが立ち、絶好のシャッターチャンスであった。この日は、12時間漕ぎ90キロ進んだ。途中、雷雨で森に避難したりと散々な目に会うが、キャンプ地に着き魚を捌いていると、ユーコン川に美しい虹が架かった。この日、ふにゃ竿でパイク88cmを釣る。

地リスがベストポイントでじっとしてくれた。

9日
無事、ピックアップ地のカーマックスという町に着く。迎えに来てくれたガイドのアツシさんは、最初私のことをわからなかった。日に焼けて、髭面だったからだ。カーマックスで食べたホットドッグと冷たいコーラが物凄く美味く感じた。

10日
エドモントンの友人宅へ。夜はタイレストラン。友人夫妻と夜更けまでスコッチを呑みながら大いに語る。

エドモントンの住宅街にはノラウサギが結構いる。

11日
クイーンエリザベス2世号の船上仮装ダンスパーティーなるものに参加。カナダ人のノリについていけない面もなかったわけではないが、ロケットヘソ出しブロンド女にキスされたので良しとしよう。

仮装をして参加。はじめは悪い冗談だと思った。

12日
ポーカーパーティーなるものに連れて行かれた。タトゥーをした悪そうなカナディアンが別荘のような立派な家に大勢集まって騒いでいた。どっかの映画のワンシーンのようだ。さらにその後、これまた映画で見たようなロックがガンガンかかるバーで呑んだ。まあ、話してみれば、みな気のいい奴ばかりであった。
パーティーに行く前に美味いステーキをご馳走になった。

13日
帰国便にのる。いい旅であったが、ちと遠い。13日の朝出発し、着いたのは14日の夜10時だ。


7月23日(日) 「我が人生に悔いなし」なのか?

川で5目釣りというのは、なかなか難しい。
しかし、十勝のツートップにかかれば、5目釣りなどどうということはない。
今日は、二人で8目釣りを達成した。

釣れた順に、
1、アメマス
2、ニジマス
3、ヤマメ
4、ホウライマス
5、サクラマス
6、イワナ
7、アマゴ
8、オショロコマ

ちなみに、私は本日オショロコマ以外の7目釣りだった。
釣りグローブを貫通して刺しまくる蚊には閉口したが、はじめてアマゴも釣ったし、楽しい釣りだった。
この川なら、夢の10目釣りが可能かもしれない。

下の写真の魚種がわかれば、まつさんよりは「まし」な釣り人だ。
33cmなんてはじめてみた。スーパーヤマメと言い張りたい。 もっと大きいのを釣ったが、写真を撮る前にサイナラーってしてしまった。

「思い残すことがないように」
と、まつさんが北海道のほとんどのトラウトが釣れる川へ案内してくれた。
だから、私は
「私が死んだら妻と娘を頼む」
とお願いしておいた。
帰りにまつさんの家に寄って、奥さんに「今度遊びに来てください」と言ったら、
「でも、熊に食われるかもしれないし」
と言っていた。

縁起わるっ。

7月17日(日) この夏の計画

同僚の女性を誘って、川を下った。
水の漏れてくるパジャンカツイン・通称「泥舟」での出航だ。


二人で漕ぐなら、女性と一緒がいい。

引っ越してきて3回目の川下りだが2週間前より水が減っている。
途中フライマンが虹鱒を釣り上げた。
今度は、竿を持ってきたら楽しいぞ。


話は変わるが、今月31日からカナダに行く。約2週間の旅だ。カヌーで川を下るのだ。
休みは取った。航空券も取った。後は札幌までのJRの乗車券をとるだけだ。

川下りをするのはテスリン川というユーコン川の支流で、ユーコン準州というカナダの北のはずれ、アラスカに程近い地域だ。

下る数百キロという区間は民家はおろか道路も橋もなんもないという素敵な所だ。
いるのはたくさんの魚と沢山の蚊と沢山の熊だ。
そんなところを何日間も一人きりで川下りをするなどというと、まわりの人は変態を見るような目で見るのだが、当の本人は、蚊の大群や飢えたグリズリー襲われるかもしれないことを考え、ニヤニヤしているのだから、やはり変態なのだろう。

今、私が心配しているのは、今年は、お盆のカラフトマス釣りに行けるだろうかということだ。

7月9日(土) 近場でニジマス&焼肉

朝ゆっくり目に出発し、近場へ虹鱒を釣りに行った。
少々渋く、20cmほどの小さいニジマスがたまに釣れるという釣りだった。
けれど、水は綺麗でとても気持ちのいい釣りだ。
障害物脇の流れ込みで、34cmの虹鱒が顔を出してくれた。
斑点の綺麗な、体高のある、抜群のプロポーションの虹鱒だった。
とっても旨そうだったが、針が綺麗に掛かっていたので、水から出さずに放してあげた。


綺麗な虹だったなあ。

いっしょに行ったまつさんは、ヤマベとウグイを釣った。
虹鱒のほうが圧倒的に多い河川なのに、不思議な人だ。

極彩色のアカハラだ。さすが、まつさん。

昼にウチの庭でウチの家族とまつさんで焼肉をやった。
まつさんが、知り合いの肉屋から高級肉を大量に買ってくれたので、すばらしく豪華な焼肉になった。
昨日、吐くまで呑んで二日酔いだったのだが、やっぱりビールを飲んでしまった。

娘は、まつさんが大好きだ。私は無料高級焼肉が大好きだ。

まつさんが帰ってから庭の芝刈りをして、少し昼寝をした後、連荘で呑み会に出撃した。

中身の濃い一日だったなあ。

7月2日(日) 娘、川デビュー。

ここのところ、頭の中はカヌーで充満している。
カヌーの少し大きなイベントを8月にひかえているからなのだが、これは、ここ10年ぐらいの私の小さな夢でもある。現在私の頭は、計画と妄想でいっぱいだ。

土曜日に娘用のライフジャケットを購入し、いよいよ今日が娘のカヌーデビューの日だ。
Yさんと、Nさんという、カヌーのベテランも一緒だから心強い。
娘はハシャギながら知り合いのカナディアンに乗って川を下っていく。
最初のホンの十分ほどは緊張していたようだが、すぐに慣れ、水に手を入れたり、大声を出したりして遊びはじめた。

途中休憩した河原は、遠浅になっていた。危険がない浅瀬で娘一人をカヤックにのせて流した。イッチョ前にパドルを水中に入れ、漕ぐまねをするのが可笑しい。

なかなか様になっている

水が透きとおり、気持ちがいいのでがまんできず飛び込んで流されて遊んだら、娘もやりたいと言うので、親子で流された。気温も水温も高くなかったし、娘は普通の服を着ていたから風邪をひくかもしれない。けれど、こんなに楽しいことを禁止したらカワイソウだ。
娘は笑いが止まらず、気が狂ったようだった。
はじめて川に入ったのに、怖がらず楽しそうに遊ぶ娘がなんだか少し誇らしかった。
「流石我が子」などと思うのは親ばかの証拠だ。

我々親子は、この遊びを「おぼれごっこ」と名付けた。
「助けてー」「さむいー」とか叫びながら流されるからだ。
「パパ、もう一回おぼれにいこっ」
などと娘が言うのだ。

子どもはカヌーに乗っているより、おぼれごっこの方が喜ぶ。

何度か流されて遊んだが、娘の唇が青くなってきた時点で止めた。

カワアイサの親子がカヌーに脅かされて、下流へ下流へ逃げる。
アオサギがそこらじゅうに突っ立っている。
ショウドウツバメの群れが巣穴から飛び立つ。

ああ。いい休日。